これはある男の物語である。
ある日、男のもとに小さな小包が届いた。
「フッ、ようやくきたか!」
ニヤリ、と笑い、豪快に・・・とみせかけ、かなり慎重に包を開る。
「そうか、もう十年もたつのか・・・」
男の心に蘇る懐かしい記憶。
十数年前、男がまだ学生だったころの記憶だ。
夏休み、男は毎日のように友達の家へ行き、ゲームをしていた。
毎日、毎日。飽きることもなく、夕方まで友達と笑いあった日々。
その時のゲームが、ニンテンドー64『大乱闘スマッシュブラザーズ』である。
「ついに全国デビューのとき!俺の時代がきた!!」
男は強かった。友達の中では最強。どのキャラを使ってもかなりの勝率だった。
さっそく起動してみる。
・・・・・
!?
男の3DSLLはなんの反応も示さない。
「なん・・・だとっ・・・!?」
ただのバッテリー切れである。→充電。
気を取り直して起動。
・・・・
「アップデートだとっ!?おのれ!今は動くときではないと??世界がそう言ってるのか!!」
その後、本体アップデート+ソフトアップデート。約30分ほど待機。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!!!いつまで待たせる気だぁぁぁぁ!!」
男は気が立っていた。それもそうだ。なにせ大乱闘なのだから。
ようやく起動。
「懐かしい・・・。スマブラだ!!」
64のころから十数年。Will版も持ってたような気がするが、気のせいだ。
懐かしいキャラ、懐かしいマップ。懐かしい記憶とともに、今3DSにやってきた。
最初は大乱闘。お馴染みのモードだ。
とりあえずはCPUとの対戦だ。キャラはランダム。
「ウホホッ!!」
そう、ドンキーコングである。懐かしいきおk(ry
まずは操作だ。攻撃もろくに出来やしない。
「なんだこれ・・・?攻撃しようとするとジャンプしやがる!!バグか!!」
そうゆう仕様です。デフォルトでX、Yボタンでジャンプ、A通常攻撃、B必殺技。
キーコンフィングができるようなので、さっそく変更。これで準備は整った。
「さぁ、全国へ。伝説の始まりだ!!」
・・・・・
現実は厳しい。男はそっと3DSLLをそっと閉じ・・・なかった!
まだ男はやる気を失ってはいなかったのだ!
「まぁな、操作ぜんぜんわからんし、キャラの技とかわからんしな。最初はしょうがない!」
男は前向きだった。何回かやっていれば、昔の感が取り戻せる。そうすればもう伝説だ。
そうこうしているうちに、ついに、伝説ともいえる神のキャラ引きがきた!(ランダムでばっか選んでました。ふつうにキャラセレできます)
緑のアレ。ヨッシーである。
この姿を見ただけで、震え上がるものも少なくはない。カワイイ容姿とは裏腹にあらゆるものを飲み込む緑の悪魔。
懐かs(ry
こいつの操作は熟知していた。↑Bでたまご投げ、↓Bでヒップドロップ、Bで飲み込みたまご化。
多少の変化はあるものの、ほぼ64のヨッシーそのものだった!
男は興奮した。これなら!熟知しているコイツなら!!伝説の始まりである。
順調だった。まだ思い通りには動かせないものの、ある程度さまになっていた。
「イケる!!くらえ!!飲み込んでやるぜぇぇぇぇぇ!!」
→B
その瞬間ヨッシーは、自らたまごになり転がっていき、奈落の底へと消えていった・・・。
相手を飲み込んで、たまご化しようとした渾身の必殺技。これはB。ただのB。
いつからか知らないが必殺技が増えていたのだ。→Bというのが。
それがヨッシーの場合、たまご化してゴロゴロ転がって体当たりするという技。
そのまま落ちてった。
男は3DSLLをそっと閉じた。
「さぁ!鬼退治だ!!!」